高校数学に怖気づいたら

「長期戦」の覚悟が未来を変える

· 塾長の指導観・雑感

那須塩原市西那須野の高校受験・大学受験塾 本松学習塾塾長のブログ

前回の話と関係ありますが、高校1年生の生徒たちに、どうしても伝えておきたいことがあります。
 

それは、「もし数学が難しくてついていけないと感じたら、すぐに絶望しないでほしい」ということです。

むしろ、「ここからは長期戦で何とかすればいい」と開き直るくらいでちょうどいい。

 

中学までは「授業を聞いていれば大体わかる」「テストもそこそこの勉強で乗り切れる」という子が多かったでしょう。

 

ところが、高校に入った途端、授業スピードが速くなり、難易度も一気に上がります。

 

特に数学は、内容の積み重ねが厳しく問われる教科です。理解が追いつかないと、あっという間に「何を言っているのか分からない」状態になります。

 

最初にテストで思うような点数が取れなかったとき、生徒たちは大きなショックを受けます。

 

「自分はもうダメだ」「数学に向いていないんだ」と、早々に心が折れてしまうケースも少なくありません。

 

しかし、ここで覚えておいてほしいのは、初めてのつまずきはごく自然な現象だということです。

 

そもそも、授業にぴったりついていける生徒のほうが少数派です。

 

例えば、過去に在籍していたある生徒は、入学直後の定期テストで数学が赤点ぎりぎりでした。しかし、そこから毎日30分ずつ自習を重ね、1年後には模試で偏差値65を超えるまで成績を伸ばしました。

 

彼が特別だったわけではありません。ただ「すぐに諦めなかった」だけです。

 

数学に限らず、高校の学習は「最初から完璧にできる」ことを前提に設計されていません。むしろ、できないところを少しずつ埋めていくプロセス自体が、成長の本質です。

 

だから、最初のつまずきを過剰に恐れる必要はないのです。

 

ポイントは、「できないこと」を正面から受け止め、時間をかけて克服していく覚悟を持つこと。

 

焦って一夜漬けで乗り切ろうとするのではなく、じっくりと、毎日積み上げていく意識が必要です。

 

たとえ今週の授業が理解できなくても、次の週、あるいは来月に、ふと腑に落ちる瞬間が来るかもしれません。

 

そして保護者の方にもお願いがあります。お子さんが「数学難しい」「もう無理かも」と漏らしたとき、すぐに「頑張りが足りない」と叱咤するのではなく、こう声をかけてあげてください。
 

「焦らなくていいよ。時間をかければできるようになるから」

 

高校数学は、短距離走ではありません。フルマラソンのように、ペース配分と粘り強さが求められます。

 

つまずきに直面した生徒にとって、長期戦を覚悟することこそが、最初の一歩になるのです。