社会が苦手な子ほどハマる「一問一答」の落とし穴

 

本当に効果的な学習法とは

· 塾長の指導観・雑感

那須塩原市西那須野の高校受験・大学受験塾 本松学習塾塾長のブログ

社会が苦手な子ほど、「一問一答」の問題集にいきなり手を伸ばしがちです。

手軽で分かりやすく、短時間で知識を詰め込める気がするからです。

しかし、この勉強法が実は「遠回り」であることに気づいている保護者の方はどれくらいいるでしょうか。

たとえば、「江戸幕府を開いたのは?」という問題に「徳川家康」と答えられたとしても、その知識が定着しているとは限りません。

なぜなら、「幕府とは何か」「なぜ家康が開いたのか」「その背景には何があったのか」という文脈を理解していなければ、次に似たような問題が出たときに対応できないからです。

「一問一答」が補助教材に過ぎない理由

本来、「一問一答」は教科書を通読し、理解したうえで補助として使うものです。ところが、多くの生徒は教科書を読まずにいきなり一問一答に取り組み、「わかっている気」になってしまいます。

社会が苦手な子ほど、この「わかったつもり」の状態に陥りやすいのです。

なぜなら、社会が得意な子はすでに「ストンと落とす」読み方を身につけているからです。

彼らは教科書を読みながら、「この流れはこういうことか」と自分の言葉で整理できます。

一方、苦手な子は文字を目で追うだけで、内容を吸収しきれません。

では、どうすればいいのか?

まず大切なのは、「教科書をどう読むか」を教えることです。

たとえば、「江戸幕府」を学ぶ際に、次のような視点で読んでみると理解が深まります。

・江戸幕府が成立する前、日本はどのような状態だったのか?

・家康はどのようにして天下を取ったのか?

・江戸幕府の統治の特徴は何か?

こうした問いを意識しながら教科書を読むと、知識が「点」ではなく「線」になり、関連する情報同士がつながります。そして、その後に一問一答を使うことで、「本当に理解できているか」を確かめる作業ができるのです。

「ストンと落とす」感覚を育てる

ある生徒は、社会が苦手で成績が伸び悩んでいました。

彼は一問一答を繰り返していましたが、なかなか定着しません。そこで、「まず教科書をじっくり読み、内容をまとめてみる」ように指導したところ、徐々に理解が深まりました。

「歴史は物語のように流れがあるんだ」と気づいた彼は、その後の一問一答もスムーズに解けるようになりました。この「ストンと落とす」感覚こそが、社会の学習には不可欠なのです。

一問一答は決して無駄ではありません。ただし、それをメインの学習方法にしてしまうと、本質的な理解が抜け落ちてしまいます。

「まず教科書を読む→問いを立てる→流れを理解する→一問一答で確認する」

この流れが、社会の知識をしっかりと定着させる鍵です。お子さんが「一問一答だけで勉強しようとしている」と感じたら、ぜひこの方法を試してみてください。