那須塩原市西那須野の高校受験・大学受験塾 本松学習塾塾長のブログ
私たちは子どもに「努力は必ず報われる」と教えがちです。
確かにその言葉には間違いがありません。しかし、今日は少し違った視点から、子どもの学習について考えてみたいと思います。
きっかけは、メジャーリーグで活躍するダルビッシュ有投手の興味深い言葉との出会いでした。
彼は「練習は嘘つかないって言葉があるけど、考えてやらないと普通に嘘つくよ」と述べています。さらに「成功が長く続けられる選手は、自分を冷静に客観視でき、かつ足りない部分に最適な努力を見つけ出す」とも語っています。
この言葉は、私たち指導者にとって、重要な示唆を含んでいます。
実際、多くの生徒が「たくさん勉強しているのに成績が伸びない」という悩みを抱えています。
例えば、毎日深夜まで机に向かい、問題集を解き続けていた子がテストでは思うような点数が取れません。なぜでしょうか。
ここで重要なのは、ダルビッシュ投手が指摘する「自分を冷静に客観視する」という視点です。
野球であれば、単純に練習時間を増やす=球を投げる回数を増やすだけでは、むしろ悪い癖が身についてしまうかもしれません。
同様に、学習においても「ただやる」のではなく、「何が分かっていて、何が分かっていないのか」を明確にする必要があります。
学習における「自己客観視」とは、具体的にどういうことでしょうか。
例えば数学の場合、「この問題が解けた」という事実に満足せず、「なぜこの解き方になるのか」「似たような問題でも解けるのか」と自問自答することです。
英語であれば、単語を覚えるだけでなく、「この表現はどんな場面で使えるのか」「なぜこの語順になるのか」を考えることです。
このような思考習慣は、すぐには身につきません。ここで重要になってくるのが、私たち大人の関わり方です。
「今日は何時間勉強したの?」という質問を「今日は何が分かって、何が分からなかったの?」に変えてみるのはどうでしょうか。
時には「その勉強方法で本当にいいの?」と問いかけることも必要かもしれません。
それは一時的に子どもの自信を揺るがすかもしれません。
しかし、ダルビッシュ投手が言うように、これは学習に限った話ではありません。芸術、スポーツ、そして将来の仕事においても、自己を客観視し、適切な努力の方向性を見出す力は必要不可欠です。
私たち指導者に求められているのは、子どもの努力を漫然と褒めることではありません。
時には立ち止まり、その努力の質について共に考えることです。それは、どんな場面でも通用する本当の「学ぶ力」を育むことにつながるはずです。