「楽しくなければ勉強じゃない」の誤解

· 塾長の指導観・雑感

那須塩原市西那須野の高校受験・大学受験塾 本松学習塾塾長のブログ

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子どもが勉強をする際、「勉強は本来楽しいもの」という考え方が、いつの間にか保護者の方々ご自身を追い詰めていることはないでしょうか。

もちろん、子どもが笑顔で自発的に机に向かってくだされば、それに越したことはありません。

しかし、現実はそう甘くはありませんし、そもそも「常に楽しい」勉強など幻想に過ぎません。

「楽しくなければ勉強させる意味がない」と思い込んでしまうと、子どもが勉強を嫌がった瞬間に罪悪感が生じ、保護者の方が大きなストレスを背負うことになってしまいます。

ここで一つ、歯磨きを例に挙げてみましょう。

毎日きちんと歯を磨く大人で、「歯磨きの時間が待ち遠しくて仕方ない」という方はほとんどいないはずです。夜になると目を輝かせ、「やった、歯を磨く時間だ!」と喜び勇んで洗面所に向かう大人がいるでしょうか。

歯磨きは良い習慣ですし、有意義で、健康維持には欠かせない行為です。

おもしろいか楽しいかは重要ではなく、必要だからこそしているのです。

習慣として根付いてしまえば「しない」という選択肢は自然となくなります。

勉強もこれと同じ構造であると考えられます。

「今日も方程式が待ち遠しい!」と歓喜するお子さまは極めてまれです。

むしろ、最初のうちは「なんとなくやらされている」という感覚であっても、歯磨き同様、習慣として定着してしまえば特別な感情を抱かずに淡々と取り組むようになります。

そうして学年が進み、知識が広がり、先生や友だちとの交流が増える中で、ふと「これ、ちょっとおもしろいかも」と思える瞬間が訪れるかもしれません。それで十分なのです。

保護者としてぜひ持っていただきたい新たな視点は、「勉強を無理に楽しませようとしない」という割り切りです。

勉強は将来への投資であり、生活習慣を整える一環です。

これを「楽しませねばならない」という義務としてご自身を縛ってしまうと、子どもが一度でも不満を示した際に、ご自分を責める悪循環に陥ってしまいます。

そこから抜け出すには、「楽しいかどうか」より、「続ける価値があるか」に目を向けることが有効です。

では、具体的に何ができるのでしょうか。結局習慣化が鍵なので、習慣化するために、特定の時間帯に勉強を固定する方法が考えられます。

また、食事・風呂・就寝といった他の習慣行為と同列に扱い、勉強だけを特別視しないよう工夫することも有効です。

この「特別扱いをしない」姿勢が、逆説的に子どもの心理的な抵抗を下げます。

歯磨きを嫌々ながらでも続けた子が成長し、虫歯を防げるように、勉強を習慣化した子どもはやがて自分なりの学び方や興味分野を発見し始めるでしょう。

その時、はじめて「あれ、意外と面白いかも」という気づきが自然と生まれるのです。