"合格テクニック"がもたらす学力崩壊

なぜ高校で躓く生徒が増えているのか

· 塾長の指導観・雑感

那須塩原市西那須野の高校受験・大学受験塾 本松学習塾塾長のブログ

冬期講習の受付が始まっていますが、すでに満席の時間が多く出ています。

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合格テクニックという"魔法"の罪深さについて
 

私が、最近特に危機感を覚えているのは、高校入試の"易化"がもたらす深刻な影響です。
 

少子化の進行により、かつては難関とされた高校でさえ、中学3年生からの駆け込み受験対策で合格できるようになってきました。

 

ここ数年は大田原高校、大田原女子高校ともに高校入試では大きく入学定員をオーバーすることなく、極めて入学しやすくなっています。

 

一定の塾では、パターン化された解法や暗記テクニックを短期間で詰め込み、それなりの合格実績を出しています。中3の秋~冬くらいに、「そろそろ受験も近いから」という理由で塾に入り、テクニックだけ教わり、合格していく。

 

一見、効率的に見えるこの方法。しかし、これほど生徒の将来に悪影響を及ぼすものはないと私は考えています。
 

典型的な例をお話ししましょう。数学の二次関数。受験対策では見事に解けていた生徒が、高校に入学してわずか数ヶ月後、「場合分け」という少し応用的な内容で完全に躓いてしまいます。なぜでしょうか。

 

答えは明確です。本質的な理解がないまま、テクニックだけで乗り切ってきたからです。
 

これは数学に限った話ではありません。英語では長文をしっかり理解する努力を怠り、下線部の付近のみ読むように指導され、直前を何となく訳して点は取る(正確な訳でなくても、なんとなく合っていれば部分点はもらえるのが高校入試の実情です)

 

国語では答案の定型文を覚え、理科は公式のパターンマッチで点数を取る。こうした「浅い学び」が、高校進学後の深刻な学力低下を引き起こしているのです。


また、この問題を多くの保護者が認識していないことも問題です。

 

「とりあえず高校入試だけ乗り切れば」という考えは、実は最も危険な選択かもしれません。

 

なぜなら、高校での学びは、進度・深度ともに速く、大きいことから、単なるテクニック、理解のない丸暗記だけでは太刀打ちできないからです。
 

重要なのは、小手先のテクニックではなく、「考える力」を育てることです。それには時間がかかります。

 

よくお問い合わせいただくのですが、今回の冬期講習も例年通り、中3・高3ともに受講できません。両学年とも最終入塾タイミングは9月です。

 

入試直前だけ、チョロッと塾に入り、テクニックだけ学んで合格するということが生徒にとってプラスになるとは思えないのです。したがって約半年間、塾に在籍できる生徒のみ指導対象にしたいと思っています。

 

そして、当塾では、「なぜそうなるのか」を徹底的に考えるよう指導しています。

 

テクニックも教えますが、本質的な理解に裏打ちされた上でのテクニックの利用です。

 

たとえ時間がかかっても、自分で考え、解決する力を育てることこそ、指導の本質だと考えています。