「わかったふり」が生む学びの障害

子どもの「本当の理解」を育むために

· 塾長の指導観・雑感

那須塩原市西那須野の高校受験・大学受験塾 本松学習塾塾長のブログ

子どもたちの「わかったふり」、これは一見無害に見えますが、実は学びにおいて非常に大きな問題を引き起こします。

特に、塾での学習や家庭での勉強時間において、わかっているつもりで進んでしまうことは、深い理解を妨げる一因となります。

例えば、ある生徒が公式を使って問題を解くとき、正解が出たとしても本当に公式の意味を理解していない場合があります。なぜその場面で、その公式を使うのかわかっていないわけです。

その場では「答えが合っているから大丈夫」と思ってしまい、深く考えようとはしません。

しかし、テストや応用問題に直面すると途端に歯が立たなくなる。こうした状況は決して珍しくありません。

正解を出すことに安心してしまうと、理解不足が隠れてしまい、さらにその不安を感じなくなってしまうのです。

この「わかったふり」の状態が長引くと、学びの姿勢にも悪影響を及ぼします。分からないことに対する不快感が薄れ、徐々に「分かろうとする回路」が作動しなくなります。

その結果、授業中や家庭での学習でも、集中力が欠け、ぼんやりと話を聞くだけになってしまいます。つまり、自分が何をわかっていて、何をわかっていないのかさえ、意識しなくなってしまうのです。

これは勉強に限らず、日常生活の中でも見られる現象です。例えば、親子の会話においても「なんとなく理解したつもりで」話を聞き流してしまう場面は多いのではないでしょうか。

これが習慣化してしまうと、コミュニケーションの質も低下し、お互いに深い理解に至らないまま会話が進んでしまうこともあります。

では、この「わかったふり」をどのように解消すればよいのでしょうか。一つの方法として、具体的な問いかけをすることが有効です。例えば、子どもが「わかった」と言った時に、「じゃあ、どうしてそうなるの?」とさらに掘り下げて聞いてみる。

もし答えに詰まるようであれば、そこが理解が浅い部分です。この時、責めるのではなく、一緒に考える姿勢を示すことが大切です。

親自身も「教える側」ではなく、「一緒に学ぶ仲間」として子どもと向き合うことで、子どもの学びへの姿勢も変わっていきます。

また、塾での指導でも「わかったふり」を防ぐための工夫をしています。当塾では、単に正解を出すだけではなく、なぜその解答に至ったのかを生徒自身が説明できるように指導しています。

自分の言葉で説明することで、理解が深まり、表面的な「わかった」に留まらない学びが可能となります。

「わかったふり」が続くと、いつの間にか理解力が低下し、自分で考える力が鈍ってしまいます。

しかし、親と塾が協力し、子どもの学びを深める環境を整えることで、その悪循環から抜け出すことができます。

ぜひ、家庭でも「わかった?」と尋ねるだけでなく、その先の対話を心がけてみてください。