抽象化能力の重要性

なぜ子どもは"今何を学んでいるか"を答えられないのか?

· 塾長の指導観・雑感

那須塩原市西那須野の高校受験・大学受験塾 本松学習塾塾長のブログ

先日、ある保護者の方から興味深い相談を受けました。

 

「うちの子に『学校で今何を勉強しているの?』と聞いても、はっきりとした答えが返ってこないんです。勉強していないんでしょうか?」
 

この疑問、実は多くの保護者の方が抱えているものです。

 

しかし、結論から言えば、お子さんが勉強していないわけではありません。むしろ、これは子どもの成長過程における重要な課題を示唆しているのです。
 

私たち大人は、「今、不定詞を学んでいます」や「江戸時代の経済政策について勉強しています」と簡単に言えますが、子どもにとってはそう簡単ではありません。なぜでしょうか?
 

それは、「抽象化能力」の問題なのです。
 

子どもたちは確かに授業を受けています。黒板には「不定詞」と大きく書かれているかもしれません。

 

しかし、彼らの頭の中では、個々の例や練習問題はあっても、それらを「不定詞」という概念でくくることができていないのです。
 

例えば、「I like to swim」「I went to school to study English」という文を学んでいても、これらを「不定詞」という抽象的な概念に結びつけることが難しいのです。
 

この「抽象化能力」は、実は学問だけでなく、社会生活を送る上でも極めて重要です。物事の本質を捉え、複雑な情報を整理し、効率的に問題解決を行うためには、この能力が不可欠なのです。
 

ではどうすれば、子どもの抽象化能力を育むことができるでしょうか?

 

1「なぜ」を大切にする
単に「何を学んだ?」と聞くのではなく、「なぜそれを学ぶの?」「それは何の役に立つの?」と問いかけてみてください。


2類似点を見つける習慣をつける
例えば、「動名詞」と「名詞」の共通点は何か、違いは何かを考えさせる。これにより、概念の整理力が養われます。

 

3日常生活と結びつける
学校で学んだことが、日常のどんな場面で使えるか一緒に考えてみましょう。抽象的な概念を具体的な経験と結びつけることで、理解が深まります。
 

これらの取り組みは、一朝一夕に効果が出るものではありません。しかし、継続的に行うことで、お子さんの思考力は確実に磨かれていきます。
 

「学校で何を学んでいるか分からない」という状況は、決してネガティブなものではありません。むしろ、お子さんの成長のための重要なステップだと捉えましょう。