大量課題がもたらす弊害

· 塾長の指導観・雑感

那須塩原市西那須野の高校受験・大学受験塾 本松学習塾塾長のブログ

夏休みがもうすぐ終わります。高校生は課題の仕上げに忙しくしていると思いますが、一部高校の宿題の量が多すぎて、生徒達がかわいそうです。

「大量の宿題を出せば、子どもの学力が上がる。」これが一般的な考え方でしょうか。

実際、一部の学校では、保護者の期待に応えるためか、驚くほどの量の宿題や課題が日々与えられています。しかし、こうした課題が生徒にとってプラスになっているでしょうか。

先日、ある高校の先生と話をする機会がありました。

その先生もまた、宿題の量について疑問を持っている一人でした。

「いくら宿題を出しても、大学受験の結果には大きな影響を与えない。むしろ逆効果だ」とおっしゃっていました。

生徒たちは各教科で与えられる大量の課題に追われ、全てをこなすのに精一杯で、思考を深める時間や自分自身を見つめ直す時間が奪われてしまうのです。

高1の生徒が大量の課題に取り組み、短期的には良い成績を収めることがあります。

しかし、これはあくまで一時的なもので、高3の段階になると失速してしまうことが多いのです。

その理由は単純です。大量の課題が生徒の学習意欲を削いでしまうからです。

また、課題に追われるあまり、自分の理解が不十分な箇所をじっくり考える時間がなくなり、学びが表面的なものに終わってしまうのです。

受験勉強における大量課題のナンセンスさは、さらに明確です。一通りのカリキュラムが終わった時点では、生徒一人ひとりの弱点や克服すべき課題は異なり、志望校も千差万別です。

にもかかわらず、すべての生徒に同じ大量課題を押し付けるのは、あまりにも画一的です。

結果として、必要な学びを見失い、生徒たちは自分の学びを深める機会を逃してしまいます。

生徒たちに真の学びを提供するためには、個々のニーズに応じた課題設定が必要です。

一問一問をじっくり考え、自分の理解を深める時間を大切にすること。そうすることで、学びが単なる作業ではなく、真に意味のある経験となります。

ですから、私たちが保護者として考えるべきは、単に宿題の量を増やすことではなく、子どもたちが主体的に学び、自らの力で問題を解決する力を育む環境を整えることです。それが、真の教育の価値であり、私たちが目指すべき方向ではないでしょうか。